株式会社大山会計

医療法人設立

(1)医療法人とは

医療法人とは

医療法人とは医療法で定められた法人を指します。医療法人は診療所の経営と医師個人の家計を明確に分離し、診療所の経営基盤を強化し、医療設備・機能の充実を行い、診療所経営の近代化・合理化を図ることを目的としています。

個人医院のままでも十分に運営できますが、医療法人にする理由はどこにあるのでしょうか。
また、医療法人にする場合、どのような点に留意すべきでしょうか。

(2)医療法人化する場合のメリット

1社会的信用が高まります。
  • 先生個人と医療法人のお金の管理が明確に分かれることで、法人としての会計の信頼性が高まります。
    (ルールに沿った企業会計が導入されます)
  • 資金調達がしやすくなります。
    法人化したことで銀行からの信用が高まります。借入をする場合、保証人は理事長先生ですので、第三者の保証人が必要なくなります。
2事業承継がすすめやすくなります
  • 個人事業のクリニックを承継する場合は、廃院後の新規開設となりますが、医療法人の場合は理事長変更のみで承継ができます。
  • 平成19年4月以降設立された医療法人は持分がないため、法人の内部留保に対する相続税はかかりません。
3事業展開(分院設立・介護施設等)が図れます
  • 分院や介護保険事業への進出が可能になります。
  • 有料老人ホームや訪問看護ステーションを開設することができます。
4節税効果が期待できます
  • 先生の役員報酬は「給与所得控除」を受けられるので、個人の所得税が減少します。
  • 家族に理事報酬を支払うことができます。奥様や他のご家族を役員にすることで、職務に応じた役員報酬の支払いができ、所得を分散することで、所得税の軽減が図れます。
  • 支払基金・国保連合会から差し引かれていた源泉徴収がなくなります。
  • 一定の条件を満たした生命保険・損害保険の保険料を経費(損金)にすることができます。
  • 理事長、理事は退職する時に役員退職金を受け取ることができます。

(3)医療法人化する場合の留意点

1経営上の留意点
  • 医療法人は付帯業務禁止規定により、業務範囲が制限されます。
  • 剰余金(利益)は配当禁止規定により、使途は設備投資あるいは退職金原資に限られます。
  • 医師個人は役員報酬を受け取りますが、役員報酬以外のお金を自由に処分したり、使うことはできなくなります。
  • 社会保険の加入が必要になりますので、役員および従業員の社会保険料の折半分を法人で負担することになります。
    (半分は役員および従業員の個人負担となります)
  • 決算後には、都道府県知事に事業報告書の提出が義務付けられています。
  • 都道府県知事による立ち入り検査等の指導が強化されます。
2税務上の留意点
  • 交際費は個人事業の場合、全額経費になりましたが、医療法人化すると交際費となる金額に上限が設けられます。
  • 法人設立後には個人で加入していた小規模企業共済は解約しなければなりません。

(4)法人設立までの流れ

医療法人の設立には、申請当初から法人の開設まで最短で半年程度の期間が必要となります。また、設立申請時期は都道府県によって異なりますが、1年に2~3回(期間は数日間)しかないため、法人化をお考えの先生は、早めに・確実な準備が必要です。また、申請書は審査のポイントを押さえて適切に作成することが大切です。
以下、設立の流れをおおまかに説明いたします。当社では申請スケジュールの確認や、必要種類の作成のご支援を行っており、多数の法人設立実績があります。

都道府県
  • 設立説明会へ参加
  • 準備すべき書類と作業
    (社員候補者、役員候補者の選定、定款案の作成、診療所に関わる土地建物、医療機器等の価格等の確認、拠出内容及び拠出額の検討、賃貸借契約書の確認、事業計画・予算案の作成、財産目録の作成、債務残高証明および債務引継承認の作成、リース残高証明書、設立決議録・設立趣意書の作成、敷地図・建物平面図の取得、診療所の概要書、役員・職員一覧など)
  • 設立総会
  • 設立許可申請書の作成
  • 仮受付(予備審査)
  • 設立許可申請書(本申請)の提出
  • 本審査・現地調査
  • 医療審議会に諮問・審議・答申
  • 認可書交付
所轄法務局
  • 設立登記申請書類作成
  • 登記申請
  • 登記完了(法人設立)
  • 財産の拠出
  • 医療法人設立 登記完了届けの提出(東京都)
所轄保健所
  • 法人診療所開設許可申請書の提出・審査
  • 法人診療所開設許可書交付
  • 個人診療所廃止届の提出
  • 法人診療所開設届の提出
所轄厚生局
  • 保険医療機関指定の申請手続
  • その他施設基準の切り替え手続