株式会社大山会計

耳鼻咽喉科診療所の
経営のポイント

1. 経営環境について

経営環境について

耳鼻咽喉科を受診する患者様は従来の慢性中耳炎や蓄膿症、耳鳴りといった疾患から大きく変化しました。近年、花粉が飛び始める時期や飛散量がニュースになるほど「花粉症」が国民病として定着したため、2月から5月頃までは、1日当りの患者数は100人を超えます。また同じ時期にインフルエンザや感冒で受診する人も増えていますので、大混雑となります。

近年、睡眠時無呼吸症候群、突発性難聴、メニエール氏症候群、耳鳴り、めまいで受診する人が増え、特に睡眠時無呼吸症候群は、自動車運転時における居眠り運転につながる疾患であることも判明していますので、今後さらに受診患者数は増加すると考えられます。

クリニック数は2008年 5,883施設、2011年 5,738施設、2014年 5,870施設と大きな変化はありません。(厚生労働省発表 各年10月1日時点)

患者1人当たりの単価は低いですが、医薬品費の割合が低く、医療機器の設備投資が比較的少ないために、収支差額は高くなります。医療機器としては、ネプライザー、聴力検査器、吸引器、X線装置、顕微鏡、吸引器などがあります。

2. 経営戦略のポイント

小児患者が多いことが耳鼻咽喉科診療所の特色ですが、15歳未満の人口は2017年4月1日現在12.4%ですが、2040年には10%まで減少することが予想されています。診療圏を広げて積極的に患者様を集める戦略で進むか、睡眠時無呼吸症候群やいびき・めまい外来など専門性を前面に打ち出し、成人患者を集める戦略で進むか、診療所の特色を明確にする必要があります。

また、ピーク時の待ち時間の解消のために、順番待ち予約システムの導入は必須です。携帯電話を使える年代層の方が大半を占めるようであれば、携帯電話を使った順番待ちシステムの導入も有効です。ただし、高齢者の方にも配慮して、電話による予約も併用することが必要です。

繁忙期は1日に患者数が300人を超える診療所も出るほど患者様が集中します。待合室のスペースの確保、受付時間帯の工夫(早朝・夜間)、効率的な診療体制の構築などがポイントになります。

3. マネジメントポイント

耳鼻咽喉科の初診患者数は皮膚科、小児科、産婦人科に次いで4番目に多い診療となっています。全体の延べ患者数の約25%が初診患者で占められていますので、初診患者様をいかに集めるかが、増患増収に直結してきます。
より広く多くの方に知っていただくために、インターネット、ホームページのSEO対策が重要となります。

小児科と同様、小児患者様と保護者の口コミは広がりやすく、ブログやライン、SNSで良い口コミも悪い口コミもあっという間に拡散します。待ち時間が2時間を超えると、患者満足度は高まりません。患者数が多くても、丁寧な診療を行い、診療後の待ち時間の短縮と、薬局での速やかな処方の連携なども差別化の大きな要因となります。また、診療後の薬の使用や処置方法の説明をスタッフが行えるツールの作成(リーフレット・タブレット使用)や、情報提供のツールの整備を行うことで診療効率を高めることができます。