株式会社大山会計

眼科診療所の
経営のポイント

1. 経営環境について

経営環境について

おもな疾患として、従来は結膜炎などの感染症、白内障、緑内障の手術でした。昨今では、コンタクトレンズ利用者の定期検診や、アレルギー性結膜炎(花粉症)、パソコンによる眼精疲労、ドライアイ(結膜乾燥症)などの患者が増加しています。また、保険適用外ですが、レーシックの手術を受け、視力を回復させる患者数も増加しています。

2005年の眼科診療所数は6,030施設でしたが、2010年には6,730施設と増加しています。眼科医会に属する医師の数は2010年10月では13,724人で、毎年1~2%程度増加傾向にあります。診療所で2診体制をとる眼科クリニックも増加しています。

高齢化による老人性白内障の増加と、それに伴う多焦点眼内レンズ挿入手術など、患者の増加と治療方法の多様化・高度化が進んでいます。しかし、診療報酬は外来において患者1人当たりの単価は減少しています。コンタクトレンズ診療は2006年診療報酬改定時に大きく見直され、大幅な報酬減となっています。
患者の年齢層、医師の得意分野、自院の診療体制により引き受ける治療の範囲を明確にすることが必要です。

2. 経営戦略のポイント

①地域のかかりつけ医として
住宅地にあるクリニックの場合、乳幼児・子供の結膜炎、中学生・高校生の眼鏡やコンタクトの処方、高齢者の白内障の治療など、幅広い年齢層に選んでいただけるクリニックを目指し、ホームページ、院内外広告、学校医の引き受け、他科からの紹介に力を注ぎます。

②高齢者への対応
白内障・緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症などは高齢者に多く、眼科は高齢者のQOLに直結します。院内をバリアフリーにして、車いすの乗り入れや転倒防止などの配慮が重要になります。患者様として高齢者の方を集患するなら、設計の段階から車いすの動線を確保したレイアウトが必要です。

③コンタクトレンズ処方
2006年度コンタクトレンズ検査料が大幅に改定になったとはいえ、眼鏡・コンタクトレンズの処方は重要な収入源です。眼鏡店・コンタクトレンズ店舗との連携が上手くいくと、コンタクトを必要とする患者様の来院が期待できます。

3. マネジメントポイント

手術を積極的に行う戦略を取る場合は、手術室の建築費用、手術スタッフの採用、高価な医療機器設備により、手術を行わない場合に比べて、2,000万円~3,000万円もコストが上がります。戦略と綿密な経営計画・資金計画が必須です。

眼科医診療所において初診は検査時間が長くなるので、待ち時間の緩和策としてORT(視能訓練士)の配置、予約システムの導入の検討が必要です。また、スタッフの無駄のないクリニック内の動線が、検査時間の短縮につながります。

眼科診療所は眼科単体の診療所です。増患のためには老人施設への往診、内科からの糖尿病患者の紹介、小児科との連携など、他科・他の医療機関とのネットワークの構築が求められます。