株式会社大山会計

内科診療所の
経営のポイント

1. 経営環境について

経営環境について

一般の内科クリニックは2011年度において61,207施設が存在し、全ての一般診療所の約60%を占めていますが、更に増加傾向にあります。
専門性の内科としては、消化器内科17,353施設、循環器内科12,034施設、呼吸器内科7,336施設、神経内科2,901施設、糖尿病内科2,440施設、腎臓内科1,169施設、血液内科364施設が存在します。[厚生労働省医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況]

2007年より日本の総人口が減少に転じましたが、クリニック数が多いということは診療圏や対象人口が少ないことを示すので、他のクリニックとの差別化を図り、どのようなクリニックを目指すのかというコンセプトが必要になります。

一般内科もしくはファミリークリニックとして、かかりつけ医を目指すのであれば、小児から慢性疾患の患者様の他、精神科領域の患者様から外科領域の患者様まで対応が必要になります。
専門性を前面に打ち出す場合は、遠方からも来院していただける特色や治療面でのメリットをホームページ・スマートフォンで告知することがポイントです。

また、医療行政においては、在宅医療を充実させる方針であり、訪問診療、往診、訪問看護のニーズはますます高まっています。2025年に向かって在宅医療に取り組める体制、ネットワークづくりが重要になってきます。

2. 経営戦略のポイント

①専門特化を打ち出し、自院の強みを訴求
内科クリニックの経営を考える上で、自院の特徴や専門性を打ち出すことが重要です。例えば消化器専門を前面に打ち出すのであれば、検査の実績数、手術が必要となった場合の連携先病院をホームページで周知し、患者様の信頼を獲得することが大切です。
また、「わかりやすい専門性」を伝えることも重要です。「糖尿病治療専門(食事指導有)」「不眠症外来」「漢方外来」「禁煙外来」など、具体的に何をどのように治療できるか、訴求することで自院の価値を伝えることができます。

②かかりつけ医を目指す
地域の方から「何かあったら先生に診てもらおう」といわれる信頼をいただくためには、学校医、乳児健診、予防接種、市の検診、がん検診に積極的にかかわっていくことが大切です。
小児から老人まで幅広い内科的症例の他、切傷の縫合や腰痛、骨折、皮膚疾患まで治療する経験と対応力が求められます。さらに地域の医師や病院、老人施設、保健所、市役所(区役所)と連携して、在宅医療が必要となった患者様を守ることで、地域から支持されるクリニックへと成長します。

3. マネジメントポイント

専門分野をWEBで徹底的に訴求するなら、SEO対策が必須です。治療も専門性の高いものとなるので、疾病に関する正しい情報、治療のプロセスと治療期間、治療費(健康保険対象か自費か)、連携病院の紹介、治療症例をわかりやすく掲載することで遠方の患者様も集患できるようにします。

その一方、一般内科の患者様も来院しやすいようにインフルエンザ予防接種などで、クリニックと先生の存在を認知していただくことも重要です。
また、在宅医療への取り組みは地域の介護施設やケアマネジャーさんとの連携がポイントとなります。ただし、昼休みが取れない、夜間も呼び出しが頻繁にあるなど、先生自身のQOLが低下することも考えられるので、訪問看護ステーションとの連携、地域医師会との連携、地域の先生方と輪番制を確立するなど体制整備が必要です。